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諸外国の最新動向の把握と国際交流

諸外国の最新動向の把握や海外の機関との研究交流

インクルーシブ教育システム推進センター

諸外国の最新動向の把握と海外の機関との交流

海外の機関との交流

本研究所では、以下の機関と交流協定を締結しています。

韓国国立特殊教育院(2019年再締結)

2019年7月10日に、本研究所において交流協定を再締結しました。

交流協定(再締結)署名式

 韓国国立特殊教育院が開催する国際セミナーへの出席、同教育院が行っている研究への協力を行っています。

韓国国立特殊教育院主催 第26回国際セミナー(2019年)への出席

○2023年度日韓特別支援教育協議会報告

 特総研では、韓国国立特殊教育院と相互交流と連携を深めるために日韓特別支援教育協議会を令和2年(2020年)から毎年実施しています。今年度は韓国国立特殊教育院がホストとなり、韓国での開催となりました。同協議会出席のための韓国国立特殊教育院への訪問と併せて、日本の文部科学省にあたり、韓国の教育政策を中心的に担う教育部や、知的障害特別支援学校であるセジョンイウム学校に訪問しました。

  • 韓国教育部について(5月18日訪問)

 教育部では、特殊教育政策課のキム・ソンミ課長を始め、5名の教育部の職員と情報交換を行いました。最初に韓国側から、韓国の特別支援教育に関する教育政策や現状についての説明があり、その後の質疑応答では、互いの質問内容をもとに、特別支援教育に関する情報交換を行いました。日本側からは、特別支援教育の対象者の判定の仕方、通常の学級で学ぶ特別支援教育の対象者への支援の内容、障害種の区分、障害者権利条約をめぐる国連からの勧告への対応等について質問しました。また韓国からは、障害のある子どもの医療的支援、特別支援教育学校の運営の仕方、大学等への進学や就職の際の移行支援、障害のある子どもの運動や文化活動への参加等についての質問がありました。

 情報交換を行って感じたことは、韓国の特別支援教育は、文化等の違いから日本と異なる点があるものの、共通する部分も多いということです。例えば、特別支援教育の対象者が年々増加し、それに伴い、特別支援学級の数も増えていること、また特別支援教育の対象者を判定する際に、地域の特別支援教育支援センターが教員、心理士、医療関係者などで構成されるチームを作って行っていること、またそこでの判定をもとに学びの場を決定する際に、保護者の意見が最大限反映されることなどは、日本と似ていることだと感じました。また韓国では、特別支援教育対象の子どもの多くが、特別支援学級も含めた通常の学校で学んでいるという現状や、また国連からの勧告への対応などから、日本と同様、通常の学校や学級での、対象者への指導・支援に関する関心が高まっているように感じました。

教育部での様子

写真は、韓国の特別支援教育に関する教育政策や現状を説明いただいている様子

 

  • セジョンイウム学校について(5月18日訪問)

 知的障害特別支援学校であるセジョンイウム学校に訪問しました。最初にチョン・ミンホ校長先生より学校の概要について説明を受け、その後施設見学を行いました。この学校は、セジョン市に3月に開校したばかりの新しい特別支援学校です。学校を作る上で最も考慮しなければならいないのは子どもの安全であるという方針のもと、校舎の様々な場所にクッション性の壁が設置されていたり、車いす等が過度に加速しないように途中に平らな部分を設けたスロープが設置されていたりなど、安全に関する様々な工夫が施されていました。また、子どもが落ち着いて過ごせる場所として、ホームベースと呼ばれるブースが設置されていました。職業教育のための施設も充実しており、バリスタのための施設や、野外には園芸のための施設が設置されていました。ただあくまで、その職業人を養成するためというよりは、それらの職業教育を通して、人間的な成長を図る目的が大きいとのことでありました。

職業教育施設(バリスタ)

写真は、ホームベース(左)と職業教育のための施設(右、バリスタ実習のための機器が今後設置される)

 チョン・ミンホ校長先生は、2011年3月10日に本研究所で開催した日韓セミナーの参加のために来日されており、不運にもその翌日に東日本大震災があり、日本国内が大変混乱したが、そんな中でも特総研職員が、韓国へ無事に帰れるように献身的なサポートをしてくれたと深く感謝をされていました。

 

  • 韓国特殊教育院について(5月19日訪問)

 最初に、イ・ハンウ院長と懇談をし、今までの協議会について振り返りながら、今後の協議会の方向性について意見交換を行いました。また、当研究所から記念品のこけしを贈呈しました。

記念品贈呈の様子

写真は、記念品のこけしを贈呈する様子

 その後、韓国特殊教育院の施設見学を行いました。最初に、ICT関連の施設や作成した教科書の展示スペースを見学したました。韓国社会は、急速にデジタル化が進んでおり、デジタル機器を安全に活用するための「デジタル教育」に力を入れています。例えば、町のカフェや売店等の多くには、キオスク端末という自動精算機が設置されています。韓国特殊教育院では、子どもがこれを使いこなせるようにするための体験コーナーが設置されています。

ICT関連の展示スペースの写真キオスク端末の写真

写真は、ICT関連の展示スペース(左)とキオスク端末(右)

 また、VRなどのICTを用いた体験型学習ができる機器揃えたバスも所有しており、移動しながら様々な地域の子どもが学習できるようにしています。デジタル教育は、デジタル機器を使いこなせるようにするだけではなく、サイバーテロなどの脅威を学び、それらに対応できる子どもを育てることも重要な目的とのことでした。

 配信の設備も充実しており、動画の収録スタジオも設置されていました。コロナ禍が落ち着いてきた現在でも、講義の約3割をオンラインで行っているとのことです。現職の教員研修にも力を入れており、日本の研究所同様、敷地内に研修生用の宿泊棟がありました。さらに今後は、立体型の駐車場を新たに設置し、多くの研修生等に対応できるようにしていく予定とのことでした。

収録室の写真

写真は、収録室の設備

 

  • 日韓特別支援教育協議会について(5月19日参加)

 施設見学をした後、日韓特別支援教育協議会に出席しました。開会式で両研究所の理事長、院長が挨拶を行い、それぞれの研究機関の発表を行いました。最初に日本側から、久保山茂樹インクルーシブ教育システム推進センター上席総括研究員(兼)センター長が当研究所の概要説明を、また佐藤利正主任研究員が昨年度までの重点課題研究「通常の学級における多様な教育的ニーズのある子供の教科指導上の配慮に関する研究」の発表を行いました。その後韓国側から、キム・ギルテ教育研究官による韓国国立特殊教育院の紹介、パク・ヘリョン教育研究士による「デジタル教育のための韓国のロードマップ」の発表がありました。

佐藤主任研究員が発表する様子

写真は、佐藤主任研究員が発表する様子

 お互いの国の発表が終わった後、総合討論に移り、それぞれの発表内容に関する質疑応答を行いました。日本側からは、Webでの教育コンテンツの開発について重点的に取組んでいること、またICTに関する予算の割合について質問しました。韓国からは、特別な支援を要する子どもが通常の学級で学ぶ際の評価の基準や方法に関しての質問がありました。また会場からも質問があり、当研究所が今後重点的に取組んでいきたいことや、今回発表した研究に関する報告書等の入手の仕方についての質問がありました。質問の中で、通常学級での特別な支援を要する子どもの支援の重要性についての発言があり、このことに関する関心の高さを改めて感じ取ることができました。

質疑応答の様子

写真は、質疑応答の様子

 最後に、今回の協議会に中心的に関わって下さった方々と記念撮影を行い、本協議会は終了しました。

記念撮影の様子

写真は、記念撮影の様子

 今回、韓国教育部や韓国国立特殊教育院から得た情報を当研究所の活動や日本の特別支援教育の充実・発展に生かせるように、また、日韓特別支援教育協議会が一層有意義なものになるように、今後も努めて参ります。

 

 過去の日韓特別支援教育協議会はこちら

 

○韓国国立特殊教育院 第28回国際セミナーへの参加

 本セミナー(令和4年11月2日)は、「持続可能な実践のための各国の特殊教育政策動向の探索」をテーマに、ユネスコから基調講演者が招かれたほか、韓国、アメリカ、フランス、日本の研究者が招聘されました。今回は韓国に各国から研究者が集結して開催されましたが、同時にオンラインでも配信されました。

 各国の報告に先立ち、韓国国立特殊教育院長イ・ハンウ氏の挨拶と、チャン・サンユン韓国政府教育部次官によるビデオメッセージがありました。また、10月29日ソウル梨泰院で起きた事故の犠牲者への追悼がありました。

 基調講演として、マノス・アントニニス氏(ユネスコ・グローバル教育モニタリングレポート・ディレクター)が、グローバルな観点からみる全人のための教育について報告しました。アメリカからは、ファン・ユンジェ氏(米国オクラホマ州立大学人文科学部教授)が、障害のある乳幼児への早期仲裁のための米国の政策とIFSP(Individualized Family Service Plan)適用の実際を報告しました。日本からは、本研究所情報・支援部の横倉久上席総括研究員が、日本における教育課程に関わる政策と、学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施に向けた現状と課題について報告しました。フランスからは、アグネス・ピカール=キッパー氏(フランス国立特別支援教育高等研究所 大学講師)が、統合教育と特殊教育対象者のためのフランスの政策の方向について報告しました。韓国からは、パク・ジェグク氏(韓国釜山大学校教授)が、韓国の特殊教育発展中長期政策についての考察と課題について報告しました。各登壇者の講演ののち、チョン・ヘドン氏(韓国白石大学校教授)を座長として総合討論が行われました。

○韓国国立特殊教育院 第27回国際セミナーへの参加

本セミナー(令和3年10月13日)は、「Covid-19時代における障害学生の教育の国際動向」をテーマに、韓国の他、アメリカ、フランス、日本の研究者が招聘されました。今回は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の下、オンラインでの開催となりました。

各国の報告に先立ち、韓国国立特殊教育院長イ・ハンオ氏の挨拶と、ユ・ウネ社会副首相兼教育部長官によるビデオメッセージがありました。

アメリカからは、ファン・ユンジェ氏(米国オクラホマ州立大学人文科学部教授)が、自閉症者の社会的交流に役立つ人工知能を活用した社会ロボットの教育における有用性を報告しました。日本からは、本研究所情報・支援部の青木高光主任研究員が、タブレットPCをうまく活用することにより、特別支援教育対象者も通常の学級で同じように授業を受けることができるようになった事例を報告しました。フランスからは、アン・ショタン氏(フランス国立特別支援教育高等研究所教師)が、コロナによる外出禁止令下で自閉症のある児童生徒の支援を行った、「障害者地域センター」の活動を報告しました。韓国からは、ガン・ウンヨウン氏(韓国中部大学校教授)が「ポストコロナのニューノーマル時代の、変化する未来の特殊教育の展望」と題して、特殊学校の教師は、今後どのような変化があってもすぐに適応し、変化した状況に適合する能力を備えなければならないと報告しました。

4氏の報告の合間には、特殊教育現場スケッチと題して、米国、日本、イギリス、韓国の特別支援教育に従事する教師へのビデオインタビューが上映されました。日本からは、筑波大学附属大塚特別支援学校高津 梓先生と長野県伊那養護学校矢島 悟先生に御協力をいただきました。感謝申し上げます。

韓国国立特殊教育院が刊行している季刊誌「現場特殊教育」への寄稿を行っています。

本誌には、海外の特別支援教育の現状や取組事例を紹介するコーナー「ワールドレポート」があります。日本をはじめドイツやアメリカの取組が紹介されています。

○第28巻4号(2021年12月)「ワールドレポート」「日本における発達障害がある児童生徒への合理的配慮の事例
―インクルーシブ教育システム構築支援データベースの事例から―」

以下を寄稿しました(50~52頁に日本の取組が掲載されています)。

「日本における発達障害がある児童生徒への合理的配慮の事例」

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20211220_133905/

○第28巻3号(2021年10月)「ワールドレポート」「筑波大学附属視覚特別支援学校における美術教育」

以下を寄稿しました(51~53頁に日本の取組が掲載されています)。

「筑波大学附属視覚特別支援学校における美術教育」

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20211021_131440/

○第28巻2号(2021年6月)「ワールドレポート」「コロナ・インパクトを受けて━日本の特別支援学校の取組から考える━」

以下を寄稿しました(55~57頁に日本の取組が掲載されています)。

「コロナ・インパクトを受けて━日本の特別支援学校の取組から考える━」

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20210714_170726/

○第28巻1号(2021年4月)「ワールドレポート」「コロナ感染症と関連した日本の特別支援教育の施策」

以下を寄稿しました(54~56頁に日本の取組が掲載されています)。

「コロナ感染症と関連した日本の特別支援教育の施策」

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20210430_151738/

○第27巻2号(2020年6月)「ワールドレポート」「新型コロナウイルス感染症による特別支援教育の環境の変化」
以下を寄稿しました(53~55頁に日本の取組が掲載されています)。
「日本における新型コロナウイルス感染症対策のための学校現場の取組」(日本語版PDF)

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20200715_102130/

ワールドレポート第27巻2号

○第27巻1号(2020年4月)「ワールドレポート」「特別支援学校の教室環境」(51~53頁に日本の取組が掲載されています)
http://www.nise.go.kr/ebook/site/20200417_105125/

○第26巻4号(2019年12月)「ワールドレポート」「障害のある大学生への支援」(57~58頁に日本の取組が掲載されています)

「大学等における障害のある学生の現状」(日本語版PDF)

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20191215_165926/

○第26巻3号(2019年9月)「ワールドレポート」「関係機関との連携」(53~55頁に日本の取組が掲載されています)
「医療的ケア児への学習保障を実現するための異職種との連携-日常的に人工呼吸器を装着する児童への取組を例に-」

http://www.nise.go.kr/ebook/site/20191205_125511/

○第26巻2号(2019年6月)「ワールドレポート」「障害のある子どもを対象とした安全教育」(49~51頁に日本の取組が掲載されています)

「日本における障害のある子どもを対象とした防災訓練の実際-特別支援学校の事例を中心に-」(日本語版PDF)] 

 

http://www.nise.go.kr/ebook/site/src/viewer/main.php?host=main&site=20190709_144603&category=0&page=0&pagenum=0&search=&popup=1&ref=www.nise.go.kr/ebook/site/managetool/index.php%3Fdummy%3D1562651200%26searchclass%3D%26searchclass2%3D%26searchclass3

ワールドレポート 第26巻2号

フランス国立特別支援教育高等研究所(2015年締結)

ランス国立特別支援教育高等研究所 (INS-HEA)との研究協力協定署名式

フランス国立特別支援教育高等研究所(INS-HEA)との研究協力協定署名式

2019年に、ジャック・ミクロビッチ所長が来所されました。

ジャック・ミクロビッチ所長来所

ジャック・ミクロビッチ所長来所

ケルン大学人間科学部(1998年締結)

諸外国の最新動向の把握


 本研究所では、国別調査班(アメリカ班、イギリス班、韓国班、オーストラリア班、フィンランド班、スウェーデン班、ドイツ班、フランス班)を編成し、各国の教育施策や教育事情に造詣の深い特任研究員の協力を得て、諸外国の障害のある子どもをめぐる教育施策等に関する調査を行っています。調査結果は、小冊子「諸外国におけるインクルーシブ教育システムに関する動向」にまとめています。

R元年度小冊子

諸外国におけるインクルーシブ教育システムに関する動向-令和元年度国別調査から-(PDF)

諸外国におけるインクルーシブ教育システムに関する動向-平成30年度国別調査から-(PDF)

国別調査の詳細は、特総研ジャーナルにも掲載しています。

「国立特別支援教育総合研究所ジャーナル」

本研究所では、海外の動向について最新の情報を得るために所内学習会を開催しています。

特任研究員による所内学習会での講演

アネッテ・レオンハルト教授(ミュンヘン大学による講演)

NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催


 海外における特別支援教育に関する動向等を把握し、その結果を発信すること、諸外国の教育機関や大学等から研究者等を招聘して、特別支援教育に関する施策や実際の取組について広く情報提供をしています。

第5回NISE特別支援教育国際シンポジウム(2020年)「子どもの学習のつまずきに速やかに対応する取組-フィンランドの教育実践から今後を展望する-」

第4回NISE特別支援教育国際シンポジウム(2019年)「障害のある子どもと障害のない子どもの交流をめざして-日韓の取組から今後のインクルーシブ教育システム推進を展望する」

第3回NISE特別支援教育国際シンポジウム(2018年)「インクルーシブ教育システムの推進-日英の取組の現状から、今後を展望する」

第2回NISE特別支援教育国際シンポジウム(2017年)「発達障害教育について学ぶ-アメリカ、イギリスの教育実践から学ぶ-」

第1回NISE特別支援教育国際シンポジウム(2016年)「各国のインクルーシブ教育システムの構築の取組の現状と課題」

海外への研究職員の派遣


 本研究所の研究に係る情報収集や国際会議への参加のため、研究職員を海外に派遣しています。令和元年度は、13人を派遣しました。

海外からの研修の受入

 当研究所では、海外の教育行政担当者や学校教員等の視察・研修を受け入れています。令和元年度は、22カ国124名が来所されました。

独立行政法人国際協力機構(JICA)の研修

施設見学申込書(英文版)は、以下のリンク先からダウンロードできます。
(The facility tour application form can be downloaded from the link below.)
 施設見学申込書(英文版)(Facility Tour Application Form)]

インクルーシブ教育システム推進センター

〒239-8585 神奈川県横須賀市野比5-1-1 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所

インクルーシブ教育システム推進センター(国際担当) または

総務部総務企画課総務・広報係 まで お願いいたします