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日韓特別支援教育協議会(令和2年度~)

諸外国の最新動向の把握や海外の機関との研究交流

インクルーシブ教育システム推進センター

令和4年度日韓特別支援教育協議会

 令和4年11月18日(金)、日韓特別支援教育協議会を本研究所主催で開催しました。本協議会は、国立特別支援教育総合研究所と韓国国立特殊教育院との協定に基づき、定期的に開催されるものです。今年度のテーマは、「日韓における教育課程に係る政策」でした。

 令和4年11月16日(水)に韓国から訪問者が来日し、17日(木)に特別支援学校見学及び文部科学省訪問を実施、18日(金)に本研究所理事長に挨拶、施設見学ののち協議会を開催しました。翌19日(土)に帰国されました。

 韓国からの訪問者は次の方々です。

  国立特殊教育院

    院長 イ・ハンウ 氏

    教育研究官 オ・ヨンスク 氏(教育課程政策チーム)

    教育研究士 キム・ヒョンテ 氏(教育課程政策チーム=発表者)

    教育研究士 グ・ウンジョン 氏(企画研究課=国際セミナー担当者)

 協議会前日の午前中、筑波大学附属視覚特別支援学校を訪問し、星祐子校長先生の案内で、授業参観や児童生徒との交流を行いました(写真左)。午後は、文部科学省を訪問し、日本の特別支援教育の動向について初等中等教育局特別支援教育課山田泰造課長から説明を受けました(写真右)。ご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。

11月17日の日程

筑波大学附属視覚特別支援学校訪問(写真左)及び文部科学省訪問(写真右)

 協議会当日の午前中、屋上見学(写真左)、理事長挨拶ののち記念品の交換を行いました(写真右)。

特総研での記念品の贈呈

特総研屋上見学(写真左)及び韓国国立特殊教育院長から記念品の贈呈(写真右)

 続いて、発達障害教育推進センター展示室(写真左)及びライブラリーを見学し、職員の説明を受けました(写真右)。

発達障害教育推進センター及びiライブラリーの見学

発達障害教育推進センター(写真左)及びライブラリーの見学(写真右)

 協議会は、両国あわせて39名が参加しました。

 開会式では、本研究所中村信一理事長及び韓国国立特殊教育院イ・ハンウ院長の挨拶がありました(写真左)。続いて、韓国国立特殊教育院教育課程政策チームのキム教育研究士から韓国の特殊学校に係る教育課程の制度、知的障害特殊学校の教育課程、特殊学校教育課程に係る研究動向について発表されました(写真右)。日本からは、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課加藤宏昭特別支援教育調査官から、学習指導要領等の改訂の方向性について、本研究所研究企画部横尾俊総括研究員から知的障害のある児童生徒に対する特別支援教育を中心に特別支援学校学習指導要領とその実践について、本研究所吉川知夫研修事業部上席総括研究員から学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施・評価・改善に関する研究についてそれぞれ発表がなされました。これらの発表を踏まえた総括協議では、両国の特別支援教育制度において異なる取組について互いに関心を寄せるとともに、意見交換しました。

韓国国立特殊教育院長開会挨拶及びキム教育研究士のご発表

韓国国立特殊教育院長開会挨拶(写真左)及びキム教育研究士のご発表(写真右)

 閉会式では、本研究所梅澤敦理事より、閉会の挨拶として、感謝の意を表し、続いて韓国国立特殊教育院教育課程政策チーム オ・ヨンスク教育研究官から次回の協議会は韓国側をホストとして開催する旨が宣言され閉会しました。

日韓特別支援教育協議会開催記念写真

前列中央右から イ・ハンウ院長、オ・ヨンスク教育研究官、キム・ヒョンテ教育研究士

後列中央右から グ・ウンジョン教育研究士

 

令和3年度日韓特別支援教育協議会

 令和3年11月4日、特総研と韓国国立特殊教育院とを結んで開催されました。今回のテーマは「両国のインクルーシブ教育システムの現状と課題」でした。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の下、オンラインでの開催となりました。韓国国立特殊教育院をホストとして両国あわせて53名が参加し開催されました。
 両国の報告に先立ち、韓国国立特殊教育院長イ・ハンウ氏及び本研究所理事長宍戸和成の挨拶がありました。
 日程は、両機関の業務の紹介、教育現場の風景の紹介、テーマに係る発表及び質疑応答の順で実施されました。両機関の業務の紹介は、韓国側から企画研究課教育研究官グム・ミスク氏のご発表があり、続いて、日本側から総務部総務企画課長桑田美季から発表いたしました。
 教育現場の風景の紹介は、両国の特別支援教育に従事する教師へのビデオインタビューが上映されました。韓国からは、パンギョウ高等学校ヒョン・ヨハン先生、ソンウン学校パク・ヘラン先生のご発表がありました。日本からは、筑波大学附属大塚特別支援学校高津 梓先生と長野県伊那養護学校矢島 悟先生にご協力いただきました。
 テーマに係る発表は、日本側、韓国側の順で発表し、日本側からインクルーシブ教育システム推進センター総括研究員生駒良雄から発表し、続いて、韓国側からは、韓国政府教育部教育研究士アン・サングォン氏のご発表がありました。質疑応答では、障害のある子供の就学の仕組みについて活発な意見交換が行われました。
 特総研のインクルーシブ教育システム推進センター長 久保山茂樹より、閉会の挨拶として、感謝の意を表するとともに、次回の協議会は日本側をホストとして開催する旨表明しました。

日韓特別支援教育協議会当日の様子

韓国国立特殊教育院主催で、日韓プレセミナー(オンライン)を開催しました。

本セミナー(令和2年10月28日)では、withコロナ時代における両国の障害のある子供に対する支援事例を通して、感染症発症時・拡大時の対策、休校時の障害のある子供の居場所の確保や学習支援サイトの運営状況、ICTを活用した遠隔授業の実施等の取組を共有しました。

日韓プレセミナー(オンライン)

○韓国でのwithコロナ時代における障害のある子供に対する取組

韓国では、教育部(日本の文部科学省に該当)が主幹し、KNISEが推進役となって17市・道の教育庁と協力して障害のある子供のための遠隔学習コンテンツを作成しています。具体的には、17市・道の特殊教育担当教員が分担して、初等学校、中学校、高等学校の全教科・科目について学年別、障害種別(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、発達障害)の学習コンテンツと学習指導案を作成しました。これらは、KNISEが開設している「障害学生オンライン学習ルーム」にアップロードされています。また、KNISEでは、個々に応じたきめ細かな対応を行うために、85億ウォン(約8億円)を投入してオーダーメイドのプラットフォームを構築し、2021年の完成をめざして障害のある子供のための専用クラウドと遠隔学習コンテンツの開発を進めています。

一方、両国で共通の課題となっているのは、知的障害や発達障害のある子供の遠隔授業の難しさです。韓国では、遠隔授業に加えて1対1(又は2)の指導、家庭訪問、学習教材セットの配付を併行しています。韓国では、障害のある子供の学びの保障のために、国と自治体が連携・協力して迅速的かつ精力的に取組を進めています。

研究所からの発表内容(「コロナ時代における日本の障害のある子供への支援事例」