研究代表者

廣瀬由美子

所内研究分担者

小澤至賢,渥美義賢,井上昌士,菊地一文,大城政之,柳澤亜希子

所内研究協力者

大内進

研究研修員

21年度 研修期間:平成21年4月15日~平成22年3月17日
塚本 亜希(熊本県立松橋東養護学校)

研究班

自閉症班(研究班長 廣瀬由美子)

研究期間

平成20年~平成21年度(2年間) 継続

研究の概要

 自閉症スペクトラムの児童生徒には,その状態に応じた指導の場が用意されています。しかし,各学校や学級,教室における授業環境の設定の在り方も異なることから,それぞれの指導場面における指導内容や指導方法,環境設定の在り方について,共通する点と特異な点を分析するとともに,さらに総合的に検討していく必要があります。
本研究1年目では,特別支援学校を研究対象にした近年のプロジェクト研究の知見が特別支援学級に活かせるのか検討するとともに,知的障害特別支援学級における自閉症教育の実態についてアンケート調査を行いました。
2年目の今年度は,調査結果や,研究協力機関校の知的障害特別支援学級及び自閉症・情緒障害特別支援学級において,自閉症の児童生徒を含めた学級の教育課程の編成の在り方や,特別支援学級における自閉症教育の在り方について検討します。その上で,自閉症の児童生徒を含めた特別支援学級における教育課程の編成の在り方や,基本的な指導内容・指導方法など,小・中学校における自閉症教育の在り方について提言します。

研究の成果

研究紹介(メールマガジン第43号(平成22年10月号)より)
[本研究の背景と目的]
 本研究は、通級による指導の対象者が分けられたこと(従前の情緒障害者を自閉症者と情緒障害者に)、情緒障害特別支援学級の名称が変更されたこと(従前の情緒障害特別支援学級を自閉症・情緒障害特別支援学級に)等、近年の自閉症教育にかかる現状を踏まえ、小・中学校における特別支援学級での自閉症教育における教育課程の編成の在り方などを検討することを目的としました。
[本研究の結果と今後の課題]
 特別支援学級における教育課程の編成状況や、自立活動における指導の現状など、実態調査(2008)や研究協力校からの聞き取り調査から、以下のような結果を得て、教育課程編成の仮説を提案しました。
 1)自閉症スペクトラム(以下ASD)のある児童生徒の有無にかかわらず、個々の実態把握から交流及び共同学習の内容を決定し、時間表を作成していた。
 2)時間表作成では、在籍児童生徒の交流及び共同学習に配慮し、特別支援学級の時間表を先に決定する学校と、通常の学級を先に決定する学校と2通りであった。
 3)自立活動の指導では、知的発達に遅れがない場合、自立活動の時間における指導を実施し、知的発達の遅れがある場合は教育活動全体を通した指導で実施していた。
 4)ASDのある児童生徒が混在している学級では、場の構造化、クールダウンエリアの設定、指導グループの編制、視覚情報の活用等に配慮していた。
 教育課程の編成においては、特別支援学級に在籍しているASDのある児童生徒の実態は多様であることから、視覚障害や肢体不自由などの教育課程の編成を参考に、以下の仮説案を提案しました。
 Aタイプ(知的発達程度は標準):当該学年の教科+自立活動
 Bタイプ(知的発達程度は軽度):当該学年の教科+下学年教科+自立活動
 Cタイプ(知的発達程度は中度):当該学年の教科+知的障害特別支援学校の教科+自立活動
 Dタイプ(知的発達の程度が重度):自立活動を中心
 研究結果を受け、今年度から開始した自閉症研究では、自閉症・情緒障害特別支援学級のAタイプとBタイプのASDのある児童生徒に、教科指導を中心とした研究を継続しています。

 ○研究成果報告書
  https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-82-1.pdf

 ○全国知的障害特別支援学級実態調査 調査結果
  https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-82-2.pdf
  ○SNAPSHOT(研究紹介リーフレット)
  特別支援学級における自閉症教育推進のための教育課程の編成案~自立活動を中心に~
  https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/69/52.pdf

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