研究代表者

井上昌士

所内研究分担者

猪子秀太郎,菊地一文,涌井恵,大崎博史

所内研究協力者

松村勘由,小澤至賢,大城政之

研究班

知的班

研究期間

平成21年度(1年間) 新規

研究の概要

 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校(以下,特別支援学校(知的障害))の在籍者数は近年増加の一途をたどっており,この10 年間で約19,000 人増加しています。なかでも高等部の増加の割合が一番高く,障害の軽度の生徒に加えて発達障害を併せ有する生徒の増加も指摘されています。このような在籍者の増加に伴い,各学校の教育環境の整備や教育的対応の在り方についての改善を図ることが喫緊の課題となっており,そのために児童生徒の増加要因や増加に伴う改善策の整理等が必要です。

 本研究では,児童生徒が増加している要因考えられる事項について整理するとともに,それについて特別支援学校(知的障害)及び都道府県教育委員会等を対象とした調査を実施します。調査結果に基づいて,増加の背景について検討し,特別支援学校(知的障害)における児童生徒の増加に伴う課題について整理します。併せて,厚生労働省が平成20年度厚生労働省障害者保健福祉推進事業として(社)日本発達障害福祉連盟に委託した「発達障害のある子どものトータルな医療・福祉・教育サービスの構築に向けて」の調査結果も参考にしながら,これらの課題に対する改善策等について検討し,今後の各自治体における施策や各学校における教育的対応の改善に資する知見をまとめることを目的とします。

研究協力者(氏名と所属、50音順、以下同じ)

  • 石塚 謙二氏(文部科学省)
  • 尾崎 祐三氏(東京都立南大沢学園特別支援学校)
  • 木村 宣孝氏(北海道伊達高等養護学校)
  • 竹林地 毅氏(広島県教育委員会)
  • 湯汲 英史氏(早稲田大学)
  • 横山 孝子氏(静岡県立浜松特別支援学校) 

平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーⅡ第2分科会 「増加し続ける特別支援学校(知的障害)の児童生徒」-増加の実態とその教育的対応-

・研究報告
  井上 昌士 (国立特別支援教育総合研究所 総括研究員)
•シンポジスト
  尾崎 祐三 氏(東京都立南大沢学園 校長)
  湯汲 英史 氏(早稲田大学 客員教授)
※竹林地 毅 氏(広島県教育委員会教育部特別支援教育課 課長)
 ※ビデオ映像による話題提供
•司会者
  猪子秀太郎 (国立特別支援教育総合研究所)
•第2分科会記録 PDF(126KB)

研究成果

研究紹介 (メールマガジン第47号(平成23年 2月号)より)
『本研究の背景と課題』
 近年、知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒数の増加や学校の狭隘化、教室不足等の問題が各学校や自治体の課題となっています。本研究では、全国特別支援学校知的障害教育校長会(以下、全知長)との連携のもとに、知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒の増加の実態を整理し、増加に伴う課題を明らかにしてその教育的対応について検討しました。
『本研究の結果』
 平成21年度の全知長加盟550校の平均在籍者数は149.7人、 300人以上の学校は37校ありました。回答の得た434校のうち、在籍者の療育手帳程度別の状況は、軽度判定が小学部約 1,000人(在籍率5%)、中学部約1、400人(9%)に対して高等部は約9,900人(28%)と非常に多く、小、中学部と高等部では在籍者の構成が大きく異なっているといえます。66%の学校で認可学級に対して普通教室数が不足しており、300人以上の大規模校では90%以上、大規模校以外でも約60 %近くの学校で不足していることが明らかになりました。特別支援学校の教職員数は他の学校種と比べて多く、在籍者数の増加に伴い教職員数も増大します。大規模校では150人近い教職員が勤務している例もありました。こうした大人数の職員に対する専門性の担保や、学校の教育方針、経営方針等の徹底には困難が予想されます。
『本研究の課題』
 今後は学校マネジメントに関する工夫の必要性とともに、これまで以上に特別支援学校と通常学校の連携を強化し、小・中学校及び高等学校における特別支援教育の充実強化を推進していくことが重要であると考えます。
                                               

研究成果報告書
知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校に在籍する児童生徒の増加の実態と教育的対応に単する研究

SNAPSHOT(研究紹介リーフレット)
知的障害特別支援学校の児童生徒が近年増えてきていますが,増加の実態やそれに伴う課題はどんなことですか?

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