研究代表者

西牧謙吾

研究分担者

滝川国芳,植木田潤 

研究班

病弱班

概要

 近年の子どもの疾病構造の変化と医療の進歩の影響で,特別支援学校(病弱)に在籍する子どもの数は漸減し,病院にある学校でも在籍者の偏在傾向が顕著になってきています。一方,小・中学校等に在籍し,長期の医療を必要としている子どもの数は増加し,義務教育期間における病気による長期欠席者も4万人以上存在しています。これらの状況に対応するためには,病弱教育の専門性の蓄積と特別支援学校(病弱)のセンター的機能の有効活用が求められます。こうした観点から,本研究所では,全国特別支援学校病弱教育校長会,全国病弱虚弱研究連盟と連携し,改良した病類調査システムで把握した地域の病気の子どもの実態を基に,都道府県レベルでICTを活用した望ましいセンター的機能の在り方に関する研究を進めてきました。
これまでの取組から,小・中学校等や病院にある学校に在籍する病気の子どもへの支援では,病気になった時点から前籍校等への復帰を円滑に進めるための特別支援学校と前籍校との連絡調整及びその後の学校保健での管理体制の維持が重要な課題であることが明らかになりました。本研究では,小・中学校等に在籍する長期の医療を必要としている子どもへの支援の質の向上を図るために,筋ジストロフィーや心身症等への組織的な支援の活性化と,全国の特別支援学校担当者の専門性の継承確保の望ましい在り方について事例研究を積み重ねます。また,病気のある児童生徒を取り巻く関係機関のネットワークを活用して,教育情報共有,情報交換を促進し,病気の児童生徒全体を見据えた病弱教育を推進する上でのICTの活用の効果を検証します。
組織的な支援の活性化と専門性の継承確保の在り方に関する本研究の成果は支援冊子としてとりまとめます。また,ICTの活用の効果の検証を通して,特別支援学校(病弱)が,県域を越えて病弱教育の情報共有,情報交換を促進することで,心身症・精神疾患等から希少疾患まで小・中学校等に在籍する多様な病気の児童生徒に対応可能であることが明らかに出来ます。

研究成果

*研究成果報告書はこちら→

 特別支援学校(病弱)のセンター的機能を活用した病気の子ども支援ネットワークの形成と情報の共有化に関する研究

 

平成23年度「精神疾患等のこころの病気のある児童生徒の指導と支援の事例集」  (全国病弱虚弱教育研究連盟 心身症等教育研究推進委員会,独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所)の作成

 

このページの上へ