研究代表者

 田中良広

研究分担者

 大内 進,澤田真弓,金子健,土井幸輝

研究班

 視覚班

概要

  視覚障害教育研究班では,平成22年度に「小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等に対する指導・支援に関する研究」の一環として,2つの実態調査(視覚障害者を教育する特別支援学校におけるセンター的機能に関する実態調査,及び小中学校等の学校訪問による視覚障害のある児童生徒等に対する指導の実際に関する調査)を実施いたしました。本研究では,これらの実態調査において明らかとなった現状と課題に基づき,以下の事項を実施することとします。

(1)視覚障害者を教育する特別支援学校におけるセンター的機能を効果的に発揮して,小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等に対する指導・支援を効果的に実施するための具体的方策について取りまとめる。

(2)小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等に対する(合理的)配慮等について,その具体的内容を提案するとともに,コンピューターテクノロジー等を活用したアクセシビリティについて,指導・支援において効果的であると考えられる具体的ツール等を紹介する。 

 上記の内容については,ガイドブック等にまとめることも想定している。
 (1)については,特徴的な取組を行っている特別支援学校(盲学校)における訪問調査を実施し,具体的な取組について,校内体制や関係機関等との連携,成功している要因等を明らかにすることを試みます。
 (2)については,視覚障害のある児童生徒が在籍している小・中学校を訪問し,指導・支援の実際を把握するとともに,実態調査で明らかとなった課題解決のための方策を,指導体制,指導内容・方法等の支援で整理して提案することを試みます。また,指導・支援に有効であると考えられるツール等について,実際に使用(試用)することによって,その有効性を検証します。
 本研究により,(1)については,特徴的な取組を行っている学校の実践について,他の学校がそのノウハウを継承することによって,全国の特別支援学校(盲学校)のセンター的機能の充実に資することが期待されます。 (2)については,視覚障害のある児童生徒等に対する合理的な配慮に関する具体的な事項が実践により明らかとなり,指導・支援の在り方のモデルケースとして周知されることにつながります。
 これらの成果は,ひいては我が国におけるインクルーシブ教育システムの構築と発展に資すると考えています。
 

 研究経過

 本研究では,盲学校におけるセンター的機能とそれに伴う小・中学校に在籍している視覚障害のある児童・生徒への支援等に関して2つの研究を進めてきました。
 各盲学校におけるセンター的機能に関する取り組みにきましては,実態調査に基づき①支援センター,②サテライト教室,③通級指導教室,④支援籍を活用した教育相談と交流及び共同学習の取り組み,⑤県下の視覚障害のある児童生徒の把握に関する県教育委員会との連携について,それぞれグッドプラクティスとして取りまとめています。また,実態調査によって明らかとなった諸点について,その解決に向けた方策を提言としてまとめています。
 盲学校のセンター的機能の一環として取り組まれている小・中学校の通常の学級に在籍している児童・生徒への支援については実地調査を通して3名の盲児童・生徒について個別事例として取りまとめています。取りまとめの観点は,①児童・生徒の障害の状態,②読み書きや触察能力等を含めた学習状況,③感覚代行機器等を含めた教材活用の状況,④個々の児童・生徒に対する支援体制などです。また,今後の支援の在り方,あるいは小・中学校等に視覚障害のある児童・生徒が在籍する際の課題等に関して考察を行っています。
 今後は,本研究の成果を研究成果報告書として取りまとめ,Web上で公開する予定です。
 

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